介護保険の自己負担割合とは|1割・2割・3割の基準と計算例

「介護保険のサービスを使うと、いくら払うことになるの?」——介護がはじまると、費用の不安は必ずついて回ります。介護保険では、サービスにかかった費用の一部を利用者が負担します。その割合は「1割・2割・3割」のいずれかで、所得によって決まります。この記事では、自己負担割合がどのように決まるのか、自分や家族が何割になるのかを確認する方法、実際の計算例まで、費用を知りたいご家族に向けてやさしく解説します。

【ご注意】本記事は2025年8月時点の基準にもとづいています。 介護保険の負担割合の基準は、制度改正によって見直されることがあります。最新の情報は、お住まいの市区町村の介護保険窓口、または「介護保険負担割合証」でご確認ください。

この記事の目次

介護保険の自己負担とは|まずは仕組みを知ろう

介護保険のサービス(デイサービスや訪問介護など)を利用すると、その費用の全額を支払うわけではありません。費用の大部分は介護保険でまかなわれ、利用者が支払うのはごく一部です。

この「利用者が支払う割合」が自己負担割合です。例えば自己負担割合が1割の方なら、1万円分のサービスを利用しても、窓口で支払うのは1,000円ですみます。残りの9,000円は介護保険から事業所に支払われます。

自己負担割合は、すべての人が同じではありません。所得に応じて1割・2割・3割の3段階に分かれています。所得の高い人ほど負担割合も高くなる仕組みです。

自己負担割合は1割・2割・3割の3段階

原則は1割

介護保険の自己負担割合は、原則として1割です。多くの利用者がこの1割に該当します。また、40歳から64歳までの方(第2号被保険者)は、所得にかかわらず一律で1割です。

2割・3割になるのはどんな人?

2割・3割の負担になるのは、65歳以上(第1号被保険者)で、一定以上の所得がある方です。「現役並みに所得がある」「年金などの収入が多い」といった方が対象になります。

つまり、負担割合が2割・3割になるかどうかは、65歳以上の方の所得によって決まります。次の章で、その判定の基準を見ていきましょう。

負担割合はどう決まる?|判定の基準

判定に使われるもの

負担割合の判定には、本人の「合計所得金額」と、同じ世帯にいる65歳以上の方の「年金収入+その他の合計所得金額」が使われます。

「合計所得金額」とは、収入から必要経費などを差し引いたあとの金額のことです。年金や給与、不動産収入など、さまざまな収入をもとに計算されます。単純な「収入の額」ではない点に注意が必要です。

所得による負担割合の目安(2025年8月時点)

2025年8月1日から、負担割合を判定するための収入の基準額が変更されています。単身世帯の場合、「年金収入+その他の合計所得金額」による区分の目安は、次のとおりです。

単身世帯の年金収入+その他の合計所得金額 負担割合の目安
280万円未満 1割
280万円以上 340万円未満 2割
340万円以上 3割

あわせて、本人の「合計所得金額」が160万円以上(2割の判定)・220万円以上(3割の判定)という基準も併用されます。つまり、2割・3割になるかどうかは、これらの複数の基準を組み合わせて判定される仕組みです。

※上の金額は単身世帯の目安です。2人以上の世帯では基準額が異なります。 判定の条件は複雑なため、正確な区分は必ずお住まいの市区町村の介護保険窓口、または「介護保険負担割合証」でご確認ください。

このように、所得が高いほど負担割合も高くなります。ただし、判定の条件は細かく、世帯の状況によっても変わります。「自分は何割なのか」を正確に知るには、次に説明する「負担割合証」を確認するのが確実です。

負担割合は「介護保険負担割合証」で確認できる

要介護認定・要支援認定を受けている方には、「介護保険負担割合証」という書類が交付されます。ここに、その方の自己負担割合(1割・2割・3割)が記載されています。

負担割合証は、毎年7月ごろに市区町村から郵送され、有効期間は8月1日から翌年7月31日までです。前年の所得をもとに毎年見直されるため、所得の変化によって割合が変わることもあります。

デイサービスなどのサービスを利用するときは、介護保険の被保険者証とあわせて、この負担割合証を事業所に提示します。自分や家族の負担割合を知りたいときは、まずこの証を確認しましょう。

なお、関連する手続きとして、要介護認定の申請方法を解説した記事もあわせてご覧ください。

自己負担の計算例

実際にいくら払うのか、計算例で見てみましょう。1か月のサービス費用の合計が20万円だったとします。

  • 自己負担1割の方:支払額は20万円 × 1割 = 2万円
  • 自己負担2割の方:支払額は20万円 × 2割 = 4万円
  • 自己負担3割の方:支払額は20万円 × 3割 = 6万円

このように、同じサービスを使っても、負担割合によって支払額は大きく変わります。なお、これはサービス費用の自己負担分であり、デイサービスの食費などの実費は別にかかります。また、介護保険には1か月に使える限度額(区分支給限度基準額)があり、それを超えた分は全額自己負担になる点にも注意しましょう。

デイサービスを例にした自己負担のイメージ

もう少し身近な例として、デイサービスを利用したケースで考えてみましょう。

要介護2の方が、デイサービスを週2回(月8回)利用したとします。1回あたりのサービス費用が、利用時間や加算を含めて約9,000円だったとすると、1か月のサービス費用は約7万2,000円です。

このとき、窓口での支払い(自己負担分)は、おおよそ次のようになります。

  • 1割負担の方:約7,200円
  • 2割負担の方:約1万4,400円
  • 3割負担の方:約2万1,600円

これに加えて、昼食やおやつの食費(1回700円なら月8回で5,600円)などの実費がかかります。実際の金額は要介護度や事業所によって変わるため、利用前に必ず見積もりを確認しましょう。デイサービスのサービス内容や1日の過ごし方そのものについては、デイサービスの基本をやさしく解説した記事もあわせてご覧ください。

負担が重いときの軽減制度|高額介護サービス費

「2割・3割負担だと支払いが大変」という方のために、負担を軽くする仕組みもあります。その代表が「高額介護サービス費」です。

これは、1か月の自己負担額が一定の上限を超えた場合に、超えた分があとから払い戻される制度です。上限額は所得に応じて決まっており、申請の手続きは市区町村で行います。

ほかにも、所得の低い方を対象とした負担軽減の制度や、医療と介護の負担を合算して軽くする仕組みもあります。支払いに不安があるときは、ひとりで抱え込まず、ケアマネジャーや市区町村の窓口に相談してみましょう。

【お知らせ】2026年度以降の制度改正の動き

介護保険の負担割合は、今後さらに見直される可能性があります。

2025年12月1日、厚生労働省は2割負担の対象となる人を広げる案を示しました。これは2026年度以降の制度改正を目指したもので、2027年度に始まる「第10期介護保険事業計画」がスタートする前までに結論を出すとされています。

ただし、これはまだ検討中の段階であり、内容が確定したわけではありません。現時点で過度に心配する必要はありませんが、「2026年度以降、2割負担の対象が広がる可能性がある」という点は、頭の片隅に置いておくとよいでしょう。

なお、もし負担割合が上がった場合でも、前述の「高額介護サービス費」によって、1か月の自己負担額には上限が設けられています。負担が一定額を超えた分は払い戻される仕組みがあるため、「負担がいくらでも増え続ける」というものではありません。最新の動きが気になる方は、市区町村の窓口やケアマネジャーに相談しながら、落ち着いて見守っていきましょう。

自己負担割合についてよくある質問

Q. 夫婦で負担割合が違うことはありますか?
あります。負担割合は一人ひとりの所得などをもとに判定されるため、同じ世帯の夫婦でも、一方が1割、もう一方が2割ということもあります。それぞれの負担割合証で確認しましょう。

Q. 年の途中で負担割合が変わることはありますか?
原則として、負担割合は毎年8月1日に切り替わります。年の途中で急に変わることは通常ありませんが、世帯の状況が変わった場合などに見直されることがあります。

Q. 負担割合証をなくしてしまいました。どうすればいいですか?
お住まいの市区町村の窓口で再交付の手続きができます。サービスの利用時に必要になるため、早めに再交付を受けましょう。

Q. 40歳から介護保険料を払うのに、64歳以下はサービスを使えないのですか?
40〜64歳の方も、加齢にともなう病気(特定疾病)が原因で介護が必要になった場合は、介護保険のサービスを利用できます。その場合の自己負担も、所得にかかわらず1割です。

まとめ

介護保険の自己負担割合は、原則1割、所得の高い65歳以上の方は2割または3割の3段階です。割合は本人や世帯の所得をもとに毎年判定され、「介護保険負担割合証」に記載されます。

自分や家族が何割なのかを正確に知りたいときは、毎年7月ごろに届く負担割合証を確認するのが確実です。負担が重いと感じるときは「高額介護サービス費」などの軽減制度も利用できます。費用の不安があるときは、ケアマネジャーや市区町村の窓口に早めに相談しましょう。

なお、本記事は2025年8月時点の情報にもとづいています。負担割合の基準は今後の制度改正で変わる可能性があるため、最新の情報は市区町村の介護保険窓口でご確認ください。

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