「もう、限界かもしれない」——介護を続けるなかで、心も体も疲れ果て、そう感じている方が、この記事を読んでくださっているかもしれません。まず、お伝えしたいことがあります。介護に疲れてしまうのは、あなたの努力が足りないからでも、愛情が足りないからでもありません。介護は、それだけ大変なことなのです。そして、あなたには頼れる場所や、使える支援があります。この記事では、介護に疲れたときの相談先、家族が休むためのしくみ、利用できる制度を、いま少し立ち止まりたいあなたに寄り添いながらお伝えします。
この記事の目次
「介護がつらい」と感じるのは、あなたが弱いからではありません
介護は、終わりの見えない毎日のなかで、身体的にも精神的にも大きな負担がかかります。睡眠を削り、自分の時間をなくし、それでも「もっとできるはず」と自分を責めてしまう——多くの介護者が、同じ思いを抱えています。
「つらい」「疲れた」「逃げ出したい」。そう感じることは、決して悪いことではありません。それは、あなたが限界まで頑張ってきた証です。大切なのは、その気持ちに気づいたときに、一人で抱え込まず、誰かに話すことです。
がんばり続けて介護者自身が倒れてしまうことは、介護される方にとっても、決して望ましいことではありません。あなたが心と体を休めることは、介護を続けるために必要なことなのです。完璧な介護を目指す必要はありません。「ほどほど」で長く続けられることのほうが、ずっと大切です。
まず知ってほしい、相談できる場所
「こんなこと、誰に相談すればいいのだろう」と感じたら、次のような場所があります。どこも、あなたの話を聞いてくれます。
地域包括支援センター
地域包括支援センターは、高齢者の介護や生活に関する総合的な相談窓口です。介護のことなら何でも、無料で相談できます。「サービスのこと」だけでなく、「介護がつらい」という気持ちそのものも、相談していい場所です。お住まいの地域のセンターは、市区町村の窓口で教えてもらえます。
ケアマネジャー
担当のケアマネジャーがいる場合は、いちばん身近な相談相手です。ケアマネジャーは、利用者本人だけでなく、介護する家族を支えることも仕事にしています。「最近つらくて」と一言伝えるだけでも、サービスの見直しなど、負担を軽くする方法をいっしょに考えてくれます。ケアマネジャーの役割についてはケアマネジャーとは何かを解説した記事で紹介しています。
介護者どうしのつどいの場
各地に、介護をしている家族が集まって話す「家族会」や「介護者のつどい」があります。同じ立場の人と話すと、「つらいのは自分だけではない」と思えたり、気持ちが軽くなったりすることがあります。地域包括支援センターや自治体で、こうした集まりの情報を得られます。
「休む」ためのしくみ|レスパイトケア
介護者が休息をとるための支援を、レスパイトケアといいます。「レスパイト」とは「ひと休み」という意味です。介護保険のサービスは、利用者本人のためだけでなく、家族が休むためにも使ってよいものです。
- ショートステイ(短期入所):利用者に施設へ短期間泊まってもらい、その間、家族はゆっくり休めます。くわしくはショートステイとは何かを解説した記事をご覧ください。
- デイサービス(通所介護):日中、利用者が施設で過ごすあいだ、家族は自分の時間を持てます。
「自分が休むためにサービスを使うなんて」とためらう必要はありません。家族が休むことは、介護を長く続けるための大切な工夫です。在宅介護で使えるサービス全体については在宅介護で使えるサービスの記事で紹介しています。
仕事と介護を両立するための制度
働きながら介護をしている方のために、法律で定められた制度もあります。
- 介護休業:家族を介護するために、一定期間まとまって仕事を休める制度です。
- 介護休暇:通院の付き添いなどのために、年に数日、短い単位で休める制度です。
これらは、要介護状態の家族がいる労働者が利用できる制度です。利用できる条件や手続きは勤務先や状況によって異なるため、まずは勤務先の担当窓口に確認してみましょう。「介護のために仕事を辞める」という選択をする前に、こうした制度や、利用できるサービスがないか、ぜひ一度調べてみてください。
心と体のサインに気づいて
介護疲れは、知らないうちに心と体にあらわれます。次のようなサインがあれば、休息が必要な合図かもしれません。
- よく眠れない、寝ても疲れがとれない
- 食欲がない、または食べすぎてしまう
- 気持ちが沈む、何をしても楽しめない
- イライラして、本人につらく当たってしまう
- 涙が出る、誰にも会いたくない
こうしたサインに気づいたら、どうか我慢を重ねないでください。早めに相談することは、あなた自身を守るためにとても大切です。気持ちがつらいときは、市区町村の窓口や、こころの健康に関する電話相談などを利用することもできます。つらい気持ちは、誰かに口に出すだけでも、少し軽くなることがあります。
介護疲れについてよくある質問
Q. サービスを増やすと「親を任せきり」のようで罪悪感があります。
その気持ちを抱く方は少なくありません。けれど、サービスを使うことは「任せきり」ではなく、専門家とともに介護を支えることです。介護者が元気でいることが、結果的に本人の安心にもつながります。どうか自分を責めないでください。
Q. 相談したいけれど、どこに連絡していいか分かりません。
迷ったときは、まず「地域包括支援センター」に連絡してみてください。介護に関するどんな相談でも受け付けており、必要に応じて適切な窓口へ案内してくれます。最寄りのセンターは、市区町村のホームページや窓口で分かります。
Q. 介護をしていると、自分の時間がまったくありません。
ショートステイやデイサービスを使うことで、短い時間でも自分のための時間をつくれます。「休んでいいのだろうか」と感じるかもしれませんが、休息は介護を続けるために欠かせないものです。ケアマネジャーに相談すれば、休む時間をケアプランに組み込んでくれます。
Q. 介護のことを家族に分かってもらえず、つらいです。
介護の負担が一人に偏ってしまうことは、よくある悩みです。ケアマネジャーや地域包括支援センターに間に入ってもらい、家族で話し合う機会をつくる方法もあります。第三者の専門家が加わると、冷静に話しやすくなります。
Q. もう介護を続けられないと感じています。
そう感じるほど追い詰められているなら、それは「助けを求めるとき」のサインです。在宅での介護が難しくなったときは、施設への入所という選択肢もあります。それは「あきらめ」ではありません。本人と家族の双方が穏やかに暮らせる方法を、専門家といっしょに考えていきましょう。
まとめ|あなた自身も、大切にしてください
介護に疲れたとき、頼れる場所はたくさんあります。地域包括支援センター、ケアマネジャー、家族会——どこも、あなたの話を聞いてくれます。ショートステイやデイサービスは、家族が休むために使ってよいサービスです。仕事と両立するための制度もあります。
介護を続けるうえで、いちばん大切なことの一つは、介護するあなた自身が、心と体を健やかに保つことです。それは、わがままでも、手抜きでもありません。どうか、一人で抱え込まないでください。あなたが少し肩の荷をおろせる場所は、きっと見つかります。