老老介護とは?課題と利用できる支援サービス

「年老いた自分が、年老いた親や連れ合いを介護している」——そうした「老老介護」の暮らしのなかで、ふと不安や疲れを感じている方が、この記事を読んでくださっているかもしれません。高齢の方が高齢の方を支える介護は、体力的にも気持ちのうえでも、決して楽なものではありません。けれど、その負担を少しでも軽くするための支援やサービスは、たしかにあります。この記事では、老老介護とは何か、起こりやすい課題、利用できる支援サービスや相談先を、いま介護に向き合っているご家族に寄り添いながらお伝えします。

この記事の目次

老老介護とは

老老介護(ろうろうかいご)とは、高齢者が高齢者を介護している状態のことをいいます。一般的には、65歳以上の方が65歳以上の家族を介護しているケースを指します。

例えば、80代の夫が80代の妻を介護する、70代の子が90代の親を介護する——こうした家庭は、決して特別なものではなく、いまの日本ではごく身近なものになっています。

さらに、介護する側もされる側も認知症である状態は「認認介護(にんにんかいご)」と呼ばれ、より慎重な支援が必要とされています。老老介護や認認介護は、当事者だけでは大変さに気づきにくく、周囲も状況をつかみづらいという難しさがあります。だからこそ、早い段階で外部の支援とつながっておくことが大切です。

老老介護が増えている背景

老老介護が増えている背景には、社会全体の高齢化があります。日本人の平均寿命がのびたことで、「親を介護する子」自身もすでに高齢である、というケースが増えました。

また、子世代が遠くに住んでいたり、仕事や自分の家庭で手いっぱいだったりして、高齢の夫婦どうし、あるいは高齢のきょうだいどうしで支え合うしかないという事情もあります。これは、どの家庭にも起こりうることです。「自分たちだけで何とかしなければ」と気負う必要はありません。

老老介護で起こりやすい課題

老老介護には、特有の難しさがあります。あらかじめ知っておくことで、早めの対策につなげられます。

介護者の体力的な負担

介護には、立ち上がりや移動の介助、入浴の手伝いなど、体力を使う場面がたくさんあります。介護する側も高齢だと、こうした動作が大きな負担になり、腰や膝を痛めてしまうこともあります。

共倒れのリスク

最も気をつけたいのが、「共倒れ」です。介護する側が無理を重ねて体調をくずすと、介護を受ける方の生活も一緒に立ちゆかなくなってしまいます。介護者自身の健康を守ることは、介護を続けるための土台です。介護する方は「自分のことは後回し」になりがちですが、休息や通院の時間を確保することは、決してわがままではありません。

社会的な孤立

介護に追われていると、外出や人との交流が減り、気づかないうちに孤立してしまうことがあります。「相談できる相手がいない」「助けの求め方が分からない」と感じたまま、二人だけで抱え込んでしまうのは、老老介護で起こりやすい状況です。

老老介護で使える支援サービス

老老介護の負担を軽くするために、介護保険にはさまざまなサービスがあります。「自分たちだけで」と抱え込まず、こうしたサービスを活用してください。

  • 訪問介護:ヘルパーが自宅に来て、入浴や掃除など、体力的にきつい部分を手伝ってくれます。
  • デイサービス(通所介護):日中、施設で過ごしてもらうことで、介護する側に休息の時間が生まれます。
  • ショートステイ(短期入所):短期間、施設に泊まってもらえます。介護者が体調をくずしたときや、休息をとりたいときに役立ちます。

これらのサービスは、組み合わせて使うことができます。在宅で使えるサービスの全体像は、在宅介護で使えるサービスの記事で紹介しています。ショートステイについてはショートステイとは何かの記事もご覧ください。

体力的にきつい介助は、福祉用具(介護ベッドや手すりなど)を取り入れることでも軽くできます。

これらのサービスを使うには要介護認定が必要です。「どのサービスが合うか分からない」という段階でも、後述する地域包括支援センターに相談すれば、申請から利用開始までの流れを案内してもらえます。

困ったときの相談先

老老介護で「どうすればいいか分からない」と感じたら、まず地域包括支援センターに相談してください。高齢者の介護や生活に関する総合的な相談窓口で、無料で利用できます。介護保険をまだ使っていない段階でも相談できます。

すでにケアマネジャーがついている場合は、ケアマネジャーが身近な相談相手になります。「最近、介護がつらい」と伝えるだけでも、サービスの見直しなど、負担を軽くする方法をいっしょに考えてくれます。

地域によっては、高齢者の見守りや、配食(食事を届けるサービス)など、市区町村独自の支えもあります。介護による疲れを感じているときは、介護で家族が疲れたときの相談先の記事もあわせてご覧ください。

老老介護を続けるために大切なこと

老老介護を、無理なく続けるために心にとめておきたいことがあります。

  • 「助けを求めること」は弱さではありません。サービスや支援を使うことは、介護を長く続けるための、かしこい選択です。
  • 介護する側の健康を、後回しにしないでください。自分の通院や休息の時間も、どうか大切にしてください。
  • 小さな変化も相談を。「最近もの忘れが増えた」など、気になることは早めに専門家へ。早い対応が、共倒れを防ぎます。

老老介護についてよくある質問

Q. 子どもに迷惑をかけたくありません。それでも相談していいのでしょうか?
もちろんです。早めに相談して支援を整えることは、結果的に家族みんなの負担を小さくします。「迷惑をかけたくない」という気持ちこそ、専門家に伝えてください。いっしょに無理のない方法を考えてくれます。

Q. 介護される側が、サービスの利用をいやがります。
よくあるお悩みです。まずは見学や体験利用から始める、なじみのスタッフに来てもらうなど、少しずつ慣れていく方法があります。ケアマネジャーに相談すれば、本人が受け入れやすい形を提案してもらえます。

Q. 自分(介護する側)が倒れたら、介護される人はどうなりますか?
そうした「もしも」に備えて、日ごろからケアマネジャーや地域包括支援センターに状況を伝えておきましょう。緊急時にショートステイを使えるよう相談しておくと安心です。備えがあること自体が、心の余裕につながります。

Q. 介護保険を使うほどではない気がします。それでも相談できますか?
できます。地域包括支援センターは、要介護認定を受けていない方の相談も受け付けています。「まだ大丈夫」と思える段階での相談が、早めの備えにつながります。

まとめ

老老介護とは、高齢者が高齢者を介護している状態のことです。体力的な負担、共倒れのリスク、社会的な孤立——といった課題がありますが、訪問介護・デイサービス・ショートステイといった介護サービスや、地域包括支援センターなどの相談先が、その負担を支えてくれます。

いちばん大切なのは、二人だけで抱え込まないことです。助けを求めることは、決して申し訳ないことではありません。むしろ、早めに支えを取り入れることが、お互いの暮らしを守ることにつながります。あなたとご家族が、少しでも穏やかに過ごせるよう、使える支えにどうか頼ってください。

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